サラリーマンや公務員が副業するためには?

珍しくというか、はじめて税金に関する記事を書きます。
お題は「サラリーマンや公務員が副業するためには?」です。

副業=悪?

副業したいけど、会社や組織から禁止してるから無理という言葉はよく聞きます。
しかし、退職して独立してから冷静に考えてみると、「副業禁止」という言葉の持つ呪縛は、案外思い込みの部分が大きいのではないかと思うようになりました。

給料が上がりにくい時代、ひとつの職場に人生を預けきるのはリスクが高い。
それでも「禁止だから」で行動を止めてしまうのは、少しもったいない。
きちんとルールを理解していれば、会社や役所にバレずに賢く副業する方法はいくつもあります。


実は「副業禁止」には強制力がほとんどない

まず知っておくべき大前提として、「副業禁止」という就業規則には、実は強い法的拘束力がありません。
会社のルールよりも優先されるのは、日本国憲法です。第22条で保障されている「職業選択の自由」は、会社の内規よりもずっと強い法的根拠を持ちます。

もちろん、会社員である以上、就業時間中は職務専念義務や守秘義務があります。
しかし、それを侵さない範囲で副業する限り、会社が一方的に処分することは極めて困難です。

厚生労働省のモデル就業規則でも、すでに「副業禁止」は削除されています。
国も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で、副業を制限できるケースを4つに限定しています。

①本業に支障がある場合
②企業秘密を漏らした場合
③会社と競合した場合
④会社の名誉や信用を損なう場合

つまり、寝不足で遅刻するとか、勤務中に副業をやるとか、そういう常識的にダメなことをしない限り、副業そのものが問題になることはありません。


バレる原因は「税金」と「うっかり自分」

「いや、法的にOKでも、バレたら面倒ですよね」
そこは誰しも気になるところです。
ただ、副業が会社にバレるルートは2つしかありません。

  1. 住民税(税金経由)
  2. 自分の口(うっかりしゃべる)

まず税金対策ですが、確定申告の際に「住民税は自分で納付(普通徴収)」を選べばOKです。
副業で得た所得にかかる住民税の通知は会社には届かず、自宅に送られます。
たったこれだけで、経理担当者に「この人だけ税金が高い」と勘づかれるリスクは消えます。

そしてもう一つ、自分の口。
これが意外と多い。
副業がうまくいって気分が良くなり、つい飲み会でしゃべってしまう。
あるいは上司にスキルを褒められて「実は副業でやってて」と口が滑る。
こうして広まるケースは本当に多いです。
最強のバレ防止策は、「本業をちゃんとやる」と「黙っておく」。この2つに尽きます。


公務員にも“できること”はある

私がいた公務員の世界では、そもそも副業が法律で禁止されています。
法律なので、会社員の就業規則よりもずっと重いです。
しかしながら、完全に道が閉ざされているわけでもありません。

まず、公務員でも許可制があります。
社会貢献活動、家業の手伝い、不動産の管理などは比較的許可が出やすい分野です。
最近では、自治体によっては地域振興やIT関係の仕事で許可が下りたケースもあります。

また、「家業の手伝い」や「無報酬のサポート」なら認められる場合もあります。
本人が営利企業を経営するのはNGですが、家族名義の事業を裏方で支える程度なら問題になりにくい。
もちろん、職務専念義務に反しない範囲で、です。

昨年(2024年)、育児休業中に中古車の転売などの副業で約2億円を受け取っていたとして、福島県内の税務署に勤務する20代の男性財務事務官を、停職1か月の懲戒処分とされ、同日付で辞職された報道がありました。
国家公務員法が禁じる「信用失墜行為」などにあたると判断されたものでした。

当時の私の感想は、
「上手くやれば(奥さんや両親の手伝いというテイにする等)バレなかっただろうにな。でもそれだけ稼げるのであれば、公務員じゃなくてもどこへ行ったってやっていける。20代だし、これからも頑張ってほしい。」
です。

国税職員も、兼業届出により真正面から不動産賃貸をやっている人とか、ダマで上手く副業している職員も多いような気がします。

※ 上手くやりようがあるということであって、公務員が副業することを推奨しているわけではありません。


副業は「自由を取り戻す」練習

副業の本質は、お金を稼ぐことよりも、「自由に考えて動く練習」だと思っています。
本業の枠を超えて、自分の力で何かを作り、対価を得る。
この経験は、転職や独立を考えるときにも大きな自信になります。

会社員も公務員も、「副業禁止」という言葉だけを見て諦める必要はありません。
規則や法律を正しく理解して行動することが大事です。

っと言いつつ、現職時代に副業に一切手を付けたことがない人間が偉そうに語ってしまいました。
何かのご参考になれば幸いです。